とあるホストの裏事情・完
第24章 さわらないで
◇◆◇◆◇◆
『やっぱ帰る。二人でしっかり話つけて』
帰り際に氷悠が言った言葉を思い浮かべながら研斗を見ると、少しうつむいていた。
「将悟、俺・・・ また、汚くなった・・・」
「・・・・・・」
氷悠が帰ってから、なんとなく重たい空気が漂っていた。
その沈黙を破ったのは、さっきの研斗の言葉で。
悪いのは俺なのに、ちゃんと見てなかった、俺なのに。
まるで、『自分が悪い、自分は汚れた人間なんだ』と言っているかのような目をしてる。
その瞳には、光は宿ってない。
俺はそれが悲しくて、研斗の手を握った。
「研斗が悪いんじゃねーだろ。 ちゃんとしてやれなかった俺のせい」
「でも・・・、俺だって、なんにもできなかった。 年下なのに・・・弟ってことに動揺して、情けなく縛られて、酷いこと、されて・・・」
目に涙をたっぷり溜めていても、下を向いている研斗。その目から雫がこぼれ落ちるのは、必然的なものだった。
「それのどこが研斗が悪いの?」
「だって・・・簡単にほだされて、騙されて・・・」
「俺はその話聞いてても、研斗が悪いなんて思えないんだけど」
「でもっ・・・」
「研斗は被害者なんだ。全部、俺の責任でもあるんだよ」
「違う・・・そうじゃ、なくて・・・」
ギュッ、と痛いほど握りしめている研斗の手を、もう一度優しく包む。
少し身体が強ばったけど、それも一瞬。
研斗の涙が俺の手を濡らす。とめどなく溢れてくる涙がどんな意味を示しているのか。
「俺、よわい、とこ、将悟にしか見せないって決めてたのに、」
「うん」
「絢の、前でも泣いちゃ、て・・・」
「・・・うん」
途切れ途切れ、言葉を繋ぐ研斗。
あぁ、こんなに泣いている研斗は、久しぶりだ。
「それが、悔しくっ、て・・・ ごめ、なさっ・・・」
「研斗・・・。 何回も言うけど、俺は将悟だよ」
そっか、今、分かった。
『やっぱ帰る。二人でしっかり話つけて』
帰り際に氷悠が言った言葉を思い浮かべながら研斗を見ると、少しうつむいていた。
「将悟、俺・・・ また、汚くなった・・・」
「・・・・・・」
氷悠が帰ってから、なんとなく重たい空気が漂っていた。
その沈黙を破ったのは、さっきの研斗の言葉で。
悪いのは俺なのに、ちゃんと見てなかった、俺なのに。
まるで、『自分が悪い、自分は汚れた人間なんだ』と言っているかのような目をしてる。
その瞳には、光は宿ってない。
俺はそれが悲しくて、研斗の手を握った。
「研斗が悪いんじゃねーだろ。 ちゃんとしてやれなかった俺のせい」
「でも・・・、俺だって、なんにもできなかった。 年下なのに・・・弟ってことに動揺して、情けなく縛られて、酷いこと、されて・・・」
目に涙をたっぷり溜めていても、下を向いている研斗。その目から雫がこぼれ落ちるのは、必然的なものだった。
「それのどこが研斗が悪いの?」
「だって・・・簡単にほだされて、騙されて・・・」
「俺はその話聞いてても、研斗が悪いなんて思えないんだけど」
「でもっ・・・」
「研斗は被害者なんだ。全部、俺の責任でもあるんだよ」
「違う・・・そうじゃ、なくて・・・」
ギュッ、と痛いほど握りしめている研斗の手を、もう一度優しく包む。
少し身体が強ばったけど、それも一瞬。
研斗の涙が俺の手を濡らす。とめどなく溢れてくる涙がどんな意味を示しているのか。
「俺、よわい、とこ、将悟にしか見せないって決めてたのに、」
「うん」
「絢の、前でも泣いちゃ、て・・・」
「・・・うん」
途切れ途切れ、言葉を繋ぐ研斗。
あぁ、こんなに泣いている研斗は、久しぶりだ。
「それが、悔しくっ、て・・・ ごめ、なさっ・・・」
「研斗・・・。 何回も言うけど、俺は将悟だよ」
そっか、今、分かった。