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とあるホストの裏事情・完

第25章 限界

「まー!そのうち研斗も溜まってくるんとちゃう? もう少しの辛抱やな」
「建志はいーよな!託麻みたいなテクニシャンな彼氏」
「ちょ、誠也さん!あんま大きい声出さんとってくださいよ~」

なんか、この感じだと俺がこの中で一番惨めな男だよな。多分。
セックス拒否られて同僚とか誠也とかにまで慰められて。
なんてことだよ…もう…


「はーい!もう仕事始まりますよ~ みんな気ぃ引き締めて!」
「てんちょー今日気合い入ってますねっ」
「いや、今日は真李の誕生日だからね!」

両手を曲げて筋肉のポーズを作るオーナー。
いつもより心なしか、顔キラキラしてる…
真李っていうのは、オーナーの愛娘。今日でもう5歳になるらしい。
先月の飲み会に少し来てくれてたけど、それはもうクッソ可愛かった。
オーナーに似て、ふわふわの色素の薄い髪が印象的。
でかい目とか、ほんとにそっくり。
そりゃデレデレなわけで。




「あ、将悟、ちょっと」
「はーい」
みんながロッカールームから出ていくと、オーナーが俺をちょいちょいと手招きした。


「あのさ、研斗なんだけど落ち着くまで休みあげるから、体調万全の状態で連れてきてくれる?」
「あー…はい。了解です」
「…仕事に問題はないよね?」
「うーん、まぁ怖がってんの男だけなんで、男性ルーム以外だったら問題ないとは思うんですけど…」
「…んー、おっけー分かった!じゃあ、研斗が復帰したらしばらくはヘルプついてあげて?」
「わかりましたー」


研斗が復帰するまで、そんなに時間はかからないと思う。
遥みたいに研斗と仕事がしたいやつはたくさんいるだろう。
今日はその事も話してやろーかな。

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