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とあるホストの裏事情・完

第25章 限界

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【これから帰る】

研斗に短く打って、スマホをポケットに入れる。
研斗とは、俺の家でしばらく住むことになった。こうなって俺は心底安心してる。
やっぱ、なんだかんだ『大丈夫だー』とか言っちゃってるけど、いろいろ心配だしな…

ふと、ポケットの中のスマホが震えた。
画面をスクロールさせると、研斗から。

【気をつけてかえtってこいよー】

あ、研斗絶対眠たいだろ。
打ち間違えてるし。
そう思うと、なんだか愛おしくなって。俺は時速100kmで家へと車を走らせた。





◇◆◇◆◇◆



明かりが付いてない俺の部屋。
外から見ると、少し悲しくなったけどすぐ上がる。
当然寝てるよなー。
またソファーで寝てんのかな?
そう思いながら、マンションのエレベーターを上がる。
こんな時間、外に出歩こうなんて人はいない。
誰にも会わずに部屋の前へとたどり着いた。

「ただいまー」
「……おかえりー」
「あれっ、起きてたの」
「うん、映画見てた」

玄関でお出迎えしてくれた研斗。
嘘だ、俺のこと待ってただろ。
今日は金曜日。
どうせいつもの、なんとかロードショーがたまたまテレビでしてただけだ。
可愛い、と思って、微笑みながら研斗の頭を撫でる。
「そっか。待っててくれてありがと」
「はっ、え!?いや、待ってねーしな」
「うん、ありがとー」
「は、はぁ?意味わかんねー」

こーやっていつものツンデレ(デレ多め)が見れるようになって嬉しい。
心に余裕が出てきたって、俺は勝手に解釈してる。

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