とあるホストの裏事情・完
第30章 氷悠 × 遥 -遥side-
できればこういうのは遥がシラフのときにゆっくりじっくりと味わいたいものだ。
何せ相手の了承を得ているのだから。
シラフの遥の了承を。
今はもうどうにもならないくらい酔っているから、多分明日には記憶がとんでるだろう。
あー、地味に悲しいなそれ。
俺の部屋には、湿ったリップ音が響いてる。
もし宅急便とか来ても居留守しよ。
絶対に。
「っん、んん… ふあ… んぅ」
「ふ… きもちいの? なんか腰動いてるよ」
「んー、きもちい… ひゆう、キス好き…」
俺のキスが好きとな。
いろんな女に言われてきたけど
遥に言われるのは別格だ。うん。
でも、酔って泣いてる遥の寂しさを紛らわすための行為。
他意はない。
「あ…ぅんっ、ふぅ… あ、やだ、もっとして…」
潤いを孕んだ瞳と、俺の顔を撫でる細い指先。
それは、俺を翻弄するのには充分すぎる条件だった。
女でもこんなに興奮するかしないかのところだ。