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とあるホストの裏事情・完

第8章 女

「…あっ、ぅ…お、れ…」
「うん」
「もうっ、嫌だっ…捨てられたく、ねぇっ…やだ……おれ……」
「落ち着いて、研斗」

酔っているせいか、涙腺が崩壊してしまったようだ。
ただただ泣いて、泣いて。この悲しみは、後にまた寂しさに襲われていくのだ、と考えれば
涙が溢れてくる。


誠也さんの、広く大きな背中に手を回し、一生懸命掴む。
それに応えるように、誠也さんも強く、ぎゅうっと、抱き締めてくれた。

今はただ、その温もりに浸り、泣くことしかできなかった。

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