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とあるホストの裏事情・完

第8章 女

「すみませんでした………」

ようやく泣き止んで正気に戻った俺は、恥ずかしくて顔を上げないまま誠也さんに謝った。



「いや、いいよ。研斗の泣き顔と、泣き声聞けただけで充分」
「な…………」


つっこむ元気もなく、再びヘナヘナ、と顔を下げる。


「でも、将悟のこと完全に嫌いになったわけじゃねえだろ?」

腕を組み、首をかしげながら言われた言葉に、少し考える。


「……………」
「………まあ、あれだ。無理して色々問い詰めるより、何も言わずにいた方がいいぜ?」
「………何事もなかったかのように過ごせって言うんですか…」

「んー、そうじゃなくてね?」
「………」
「ほら、押してダメなら引いてみろ、ってあるじゃん。要するに、それだよ」
「はぁ…」

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