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俺のウサギちゃん

第12章 お食事会

「ななみ…なんて顔だよ…。
もっと喜んでくれよ。」



「驚きの方が大きくて…。

お帰りなさい広兄…いつ日本に?」



ななみのお兄さん 長男の藍川 広樹 (あいかわ ひろき)さん


あたしたちは、広兄(ひろにい)と呼んでいた。



あたしたちとは年が離れてたけど、面倒見のいい広兄は、滅多なことでは怒らない大らかな人だった。



お料理が得意で、おやつによくチーズケーキを作ってくれてた。



あたしたちは、広兄の作るチーズケーキが大好きだったから。



高校を卒業して、お料理専門学校を卒業後、某有名旅亭で10年修行してから、他の三ツ星旅亭に引き抜かれたのち料理長も務めたらしい。



でも広兄は、修行に行くと言って外国を旅してるって聞いていた。



今さら、なぜ修行なのか分からなくて、ななみと心配していた…。



あたしは、広兄が初恋だった。



だからそんな広兄を複雑な想いで見ていた。



「そこに居るのは、みみちゃんか?
俺の事…覚えてる?」



突然、話を振られたあたしはびっくりする。



「お 覚えてるよ〜…。

広兄…。

何処に行ったのかと思ったよ。

お帰りなさい〜…。」



声に出すと、涙が後から後から零れて止まらなかった。



ななみも、嗚咽を鳴らし泣きじゃくりだした。



「広兄のバカ…バカ
心配したんだぞ。
なんで急に修行なんて!」



ななみは、広兄に駆け寄った。



「まぁ色々あったんだ。
大人の事情がな…。
その辺は、そっとしておいてくれ。」



久しぶりに会った、広兄は昔と変わらないテナーサックスのような優しい声だった。



広兄は、黒縁の眼鏡をかけ綺麗な二重まぶたで、包み込む様な笑顔も変わらなかったが、何処か淋しそうだった…。



「しんみりさせたな。
話を変えようぜ…。

そういやぁ、みみちゃんは

『広兄ちゃん大好き〜♡』

ってよく言ってたよな。

『大きくなったら、広兄と結婚する〜♡』

とも言ってたぞ?」







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