テキストサイズ

闇の王と光の騎士

第11章 戦慄の国内浄化作戦

霧里の動きは素早い。

しかし長引く間合いの取り合いで紫響はその速度に動体視力が馴れてくる。
はじめは捉えられないほどの速さに感じたが、馴れればその動きも、僅かながらの癖も見抜いていた。

右、右、左……走る、右、上、屈む……

左、飛ぶ、屈む……


(見えたっ!!)

「そこっ!!」

紫響が鞭を動かした瞬間----

霧里の移動速度が倍化した。

「な、んですって……」

わざと全力ではない速度に馴らせる霧里の術に嵌められていたことに気付く。

霧里は一気に勝負を決めに来る。

「生意気な子!!」

紫響は鞭を持つ手とは逆の手で『パドル』と呼ばれるお尻を叩くのに特化したしゃもじのような棒を振り抜く。

「ッ!! ぐああっ!!」

パドルは霧里の腕に当たり、そのまま叩き落とされる格好になった。

霧里の知略に紫響の判断力が上回った。

ダメージは大きくないが、危機を脱した一撃は価千金となる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ