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闇の王と光の騎士

第3章 混沌の幕開け

仕事が終わり、紫響は今日の稼ぎをつまらなさそうにコートのポケットに捩じ込むと性奴の館から出ていく。

ボンテージの上にコートを羽織るだけという姿はいつものスタイルだ。

彼女がここで働くのは趣味以外のなにものでもない。
M男を苛め、躾ける。
それこそが彼女の至福だ。

「はぁ……つまんない……」

細いメンソールの煙草に火をつけ、大きく吸い込み、紫煙を吐き出す。

彼女は明らかに欲求不満だった。

人気が出るに従い、紫響の指名料は跳ね上がっていった。
それでも指名客は惜しげもなく金を払う。

それが繰り返され、今や紫響を指名できるのはごく一部の富裕層に限られてしまった。

そしてそれら富裕層は大概骨のないM男初心者といえた。

(金なんてどうだっていい……もっと苛め甲斐のある男を相手したい……)

紫響は深いため息をつき、夜空を見上げた。

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