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闇の王と光の騎士

第13章  魔界争乱

「TOMっ!!」

剣をしまい、慌ててTOMに駆け寄る。

「寄るなッ!!」

誇り高き狼は手のひらを広げて月影を制する。

「来るんじゃねぇよ……まだ戦いは終わってねぇ……」

腹に刺さった破片を抜き、地面に唾を吐きながら月影を睨む。

ここで戦いをやめればTOMのプライドを穢すことになる。
月影は両拳を固めて胸の前で構えた。

「ほう? 素手でやり合おうってか? 人狼相手に生意気言ってくれるな……」

TOMは腰をかなり低く落として、背筋を弓なりに湾曲させた姿勢をとる。

それは四つ足の狼と二足歩行の人間の中間を取る、人狼ならではの構えだった。

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