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闇の王と光の騎士

第13章  魔界争乱

「おーい!! 君ぃ~!! 墓場荒しとは感心しないねー!!」

遥風が声をかけると人影は動きを止めた。

「戦争に勝ったからってなにしてもいいって訳じゃないんだよ」

逃げ出すわけでもなく、戦う意思があるようでもない。

少しいぶかしがりながらも遥風は墓荒しに近付く。

「墓を……造ってやってるんだ……」

スコップがないから剣で穴を掘っていたその人物は泥まみれになっていた。

遥風は一目でそれが指名手配人物の『月影真』であることに気付いた。

しかし取り抑えることはしなかった。
いや、出来なかった。

月影は泣きながら穴を掘っていたのだから。

「墓を?」

「ああ……」

その傍らには力尽きた人狼が横たわっている。
遺体の上には月影のものであろうマントがかけられていた。

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