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闇の王と光の騎士

第16章 闇の王の粛清

暴君と恐れられ、誰一人として心を見せなかったすまいるにとって、霧里は唯一の自分の理解者だった。
その霧里を殺された王の怒りは計り知れない。

そして霧里なき今、すまいる王の護衛はかなり弱いものとなっているのも事実であった。

生き残りの指名手配はおろか、近頃では軍内部でも不穏な動きがあった。

人に死の恐怖を与え続けてきたすまいる王は、死の恐怖に怯える立場へと変わっていた。

「お父様……」

背後から声をかけられ、すまいるは怯えたように振り返る。

「らふぃんか……どうした?」

それはすまいる王の一人息子、『らふぃん』であった。
わずか五歳だが聡明で優しい心を持つ王子は、今のすまいるの唯一の安らぎだった。


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