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溺れる電車

第5章 愛おしいなんて。

それから、また一泊することになった。


今回はラブホじゃなくて。


ビジネスホテルのようなところだ。


明日は、家に帰る約束をした。

優人は、「親御さんが心配する」っていうけど、

うちの親は働いているし帰ってこない。


優人とはもうちょっと居たい気もする。





「あのさ…」


「ん?」


「私、好きな人がいるんだよね」

「へえ」




なぜか、おもむろに過去の話を私はした。


後から思うと、なぜここでこんな話をしたかは自分でも理解できない。




「私のお兄ちゃんの同級生」

「へえ」

「私が小学生の時なんだけど、
 すっごく優しくて」

「名前は?」

「知らない。お兄ちゃんも覚えてないって」

「じゃあ、もうあきらめるしかないじゃん」

「まあね。上の名前は山下」



「…」



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