
♡*:。.rena's world story.。:*♡
第4章 ♥2人の優しさ
言われて気付いた、私に触れたままだった直樹君の手が
カタカタと震えながら、ゆっくりと外された。
「………………っ」
チラッと横目で見ると、直樹君は顔面蒼白だ。
………分かる。
言葉も出ないくらい
隼人は全身から怒りのオーラを放出してる。
前に会社の裏で、立花の元カノ達に追い詰められた時
怒りを露わにする隼人を見るのは、その時以来だけど
………比べものにならないくらい、今の方が怖い。
「……俺は、君が言ってたバカげた世界で生きてる人間だから。
時間に余裕のある、安定した職業に憧れる時もあるよ」
「……………!」
ガヤガヤした周りの音の中でも
その美しい声は、心の奥にまで響き渡る。
「でも、どんな仕事でも。
必ずどこかで誰かが支えてくれているから、成り立っているんだと、俺は思う。
俺のいる業界も
彰と由宇の会社も
きっと君の務める職場だって、同じなんじゃないかな」
