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第32章 ♥隠れて甘いkissをして/propose2


春の夜風が心地よく吹き抜ける中


飛行機を背にして立ち、私から指輪を受け取った隼人は


私の左手をそっと両手で持ち上げた。




「この手に触れるまで

………長かった。

もう、化石になるかと思ったよ」




隼人の言葉に、私はふっと笑う。


それは、私も同じだよ。


あの広い部屋でふと寂しくなって、泣いてしまう夜もたくさんあった。




「ここに来るまで、この瞬間を何度も想像していたよ。


もしかしたら、来てないんじゃないかって。


何度も連絡してたんだから、そんなはずねーのにさ。


来てたとしても、その隣りに別の男がいたらとか


もし、本当に待っててくれてたら、お前はどんな顔をして俺を迎えてくれるのかとか


……色々考え過ぎて、飛行機を降りるときにはワケが分からなくなってた」



隼人が私の左手の薬指を撫でる。


……胸がドキドキして、隼人の顔が見れない。

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