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第7章 ☆甘い誘惑

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その日の帰り道。


自宅の最寄り駅の改札を抜け、私はふらふらと並木道を進んでいた。


麻里奈の言葉が、ずっと頭の中を廻っている。




夫を支えるのが妻の役目……か。


分かってるつもりだったけど、なんだか久々にグサっときたなぁ。


子供も居ないし、共働きってことで、どこか自分も翔ちゃんと対等だと思っていたけど


その考えをまず改めなきゃってことか。




11月に入って、寒さは増す一方だ。


マフラーを顔まで引っ張り上げて、とぼとぼと歩き続ける。




………もうすぐ30歳。


世間からみたら、充分大人な年齢なんだろうけど。


私はまだ、20代の感覚がそのまま続いているんだと思う。


見た目もそんなに老けてないと思うし、まだまだイケてる気がするんだ。


だけど、結婚したらそんなの重要でも何でもないんだよね。




……妻って何なんだろう。


翔ちゃんが安心できる家庭って何だろう。


私が理想とする結婚生活って、何だろう。




答えの出ない問いを浮かべて、ふと顔を上げると


道の先に、見慣れない看板が立てかけてあるのに気付いた。

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