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先生、駄目ですっ……

第13章 鬼の生活指導教員 3

琴子は海岸沿いのテトラポットの上に座って月を眺めていた。

(琴子……)

私もそのテトラポットを登り、琴子の隣に座った。

「……ごめん。琴子。私が余計なこと言わなかったらよかったのに」

「ううん。いいの」

琴子は視線を月に向けたまま答えた。

「恭華ちゃんのおかげで先生の気持ちもわかったし……もやもやしていた気持ちもなくなった。ありがとうね、恭華ちゃん」

「ごめん。本当にごめん」

「謝んないでよぉ。お礼言ってるのに」

月を仰いだまま琴子が笑う。

上を見上げてるのに琴子の目の淵からは涙がこぼれていた。

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