LAST SMILE
第2章 Blue Sky
あたしはあのあと、あいつらのバンド、Blue skyのメンバーとアドレスを交換していた。
亜貴にはまた学校が終わったら連絡するといわれ、
一緒にスタジオに行くことになった。
不思議とさっきまでイライラしてた怒りは収まって、
亜貴といるのが別に嫌じゃなくなった。
亜貴は話してみると意外といいやつで、お兄ちゃんみたいな、そんな感じがした。
*
スタジオについて、あたしは思わず立ち尽くしてしまった。
電話をしてくるからと言って亜貴がいなくなり、一人で部屋に入ると、
そこにはあいつだけがいた。
だけど、あたしを拉致していったあいつじゃない。
そこにいたのは別なあいつ。
“Blue skyの持田祐兎”だった。
煙草の煙を身に纏い、真剣な目つきで楽譜を追うその姿は、
あたしがムカつくあいつじゃなかった。
こんな人、知らない。
誰?この人は・・・。
金髪がライトに照らされてキラキラ光る。
蒼い目が捉えているのは最早、目の前の楽譜だけ。
あたしはその様子をじっと見つめていた。
その時、突然祐兎が煙草を吐き捨てて口を開いた。
歌、歌うのかな?
半ば楽しみに待っていると、
あたしのところに聞こえてきた声は、
想像していたものと違った。