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LAST SMILE

第3章 新しいBlue Sky







あたしは歌った。




適当で、多分出鱈目で、音痴で、
最悪だったと思う。


だけどみんなは途中でやめようとか、
笑ったりとかしなかった。


気付くと一曲全部が終わってて、
あたしは息を整えて座り込んだ。





「た・・・のしかった・・・・・・」


「すっげぇっすよ!!麗華さん、上手っすね!!」


磯部くんが興奮したようにあたしに言った。


嘘・・・?


全然ダメだと思ったのに・・・。


もしかしてお世辞?


これだから年下っていうのはダメなんだ。


すぐ目上の人のご機嫌をとろうとして・・・。



「さすがREI。やっぱり、天才だな」


「え・・・?」


武田くんがスティックを置いてそういった。


あれ?
武田くんまで?


「だからいっただろ。こいつは出来るって」


亜貴がみんなに向かってそういう。


何これ?
みんなであたしをからかってんの!?



あたしが混乱していると、
祐兎がそっぽを向いて煙草を吸い出した。



「あれ?モッチー、どうした?」


「・・・別に」


「もしかして、モッチー、惚れた?」


武田くんがからかうようにいった。



ちょっと!!そんなこと言わないでよ!!


「ああ」


祐兎はこっちを向いて、あたしに近付いた。



“ああ”って?


どういうこと!?



ていうか、近い、近い!!



あたしが反射的に目を瞑ると、耳元で声がした。






「声がな」





「は・・・?」




何?声?

あたしがぽかんとしていると、
馬鹿にしたような祐兎の顔がそこにあった。


「何?もしかして勘違っちゃった?
 別にお前に惚れたとかじゃねぇからな」


からかうように笑われ、あたしはだんだん腹が立ってきた。


あー。
そうですか。


“あたし”じゃなくて、
“あたしの声”に惚れたと?


ムカつく!!!


あたしが怒ったようにじっと祐兎を睨むと、
祐兎があたしを見て、静かに微笑んだ。






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