LAST SMILE
第5章 リストバンド
「なぁ、REI、ここなんだけどさー」
「え?あ、ごめん。そこ、
こっちの方がいいと思って・・・」
「REI~。俺おなかすいた」
「あのね、磯部くん。
あたしはあなたのお母さんじゃないのよ?」
「おい!REI!!
俺の書いた歌詞勝手に変えんなや!!」
「はいはい。すみませんねぇ!!」
これ、
打ち解けたって言っていいんだよね?
毎日こういうのの繰り返し。
手に負えない順に並べるとこうだね。
馬鹿祐兎(ダントツ一番)→
磯部くん(なんか妙にしつこいから)→
武田くん(ドラム同士でなんかライバル心燃えちゃう)
→亜貴
亜貴と武田くんはいいんだけど、
あの2人がなぁ~・・・。
ていうか、磯部くんは年下だからしょうがないけど、
あいつはマジで、同い年だなんて思えない!
磯部くんはなんであんなのに憧れてるんだろう。
「あ、藤堂、そこブレス足りなくなるだろ?
そういう時はさ・・」
さすが亜貴。
やっぱり亜貴は頼れるっていうか、
まともっていうか・・・。
お兄ちゃん、なんだよね・・・。
「藤堂?」
「へ?ああ、聞いてるよ。大丈夫」
あたしが慌てて言うと、
亜貴はあたしの頭をコツンと突く。
「頭、ちゃんと入ってんのか?しっかりしろよ」
そういって苦笑する亜貴。
あ、まただ。
この笑った顔。
あたしは亜貴の苦笑した顔が好き。
笑わないそれまでの亜貴は
亜貴って感じがするんだけど、
苦笑した時だけは何故か、
お兄ちゃんに見える・・・。
(お兄ちゃん・・・か)