LAST SMILE
第5章 リストバンド
「おい、何ぼけっとしてんだ?下痢か?」
「はぁ!?あんたね、
乙女に向かってなんてこと言うのよ!!」
「なになに?どこに乙女がいんだ?
ここには乙女なんてどこにも・・・ってぇな!!」
あたしが思い切り叩くと、祐兎もやり返す。
だけど全然、痛くないんだよね。
こいつ、わけわかんない。
女じゃないっていうのに、
対応は女の子みたいにするんだよね。
本気でやり返さないところとか、
やりすぎないようにほどよくからかうとか、
なんか知らないけど、帰りが遅くなる時には、
いつもあたしを待たして一緒に帰ってくれる。
一体なんなのこいつ・・・。
「あ?俺の顔になんかついてんのか?」
「べっつにぃ?」
扱いづらい・・・。
コロコロと態度が変わるこいつは、
あたしが今まであったこともないようなやつだった。
だけど・・・。
「はは。ぶっさいくな顔してんなや。あほ」
だけど、
たまに見せるこの無邪気な笑顔がたまらなく、
たまらなく可愛く思えた。