LAST SMILE
第5章 リストバンド
*
「ねぇ、REIってさ、
そのリストバンド、いっつもしてるよね?
それかっこいい。ちょっと見せてよ」
「え?」
それはいつものことだった。
いつものように休憩時間にだらだらしていると、
磯部くんがあたしの手首を指差していった。
「ダメ。これ、お気に入りなの」
「なんでー?ちょっとだけ」
「ダメったらダメ」
「それさ、見たことねぇメーカーのだよな?
特別なブランド物?」
武田くんが聞いた。
「別に、普通にマイナーなやつだと思うよ。多分」
「なんだそれ?お前が買ったやつじゃねぇの?」
「おい、お前ら邪魔だから離れろ。
藤堂、あのな、ここなんだけどな―」
「え?」
なんでもない、ごく普通のやり取り。
普通の・・・はずだったのに・・・。
「すきあり!!」
祐兎がそう叫んだかと思うと、
あたしの手首からはリストバンドが外されていた。
「いやああっ!!!!」
「麗華!!」
あたしが、崩したんだ。
この、いつもの平和な日常を。
Blue skyの穏やかな日常を・・・。
―大丈夫。麗華は俺が守るから―
「麗華!!」