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LAST SMILE

第5章 リストバンド










誰かが呼んでる・・・。



あたしを呼んでる。



誰?どこにいるの?



“麗華”



その声は・・・。




“麗華”




お兄ちゃん??






『お兄ちゃんっ!!!』











意識が戻って、ぱっと目を開けた。


一瞬、視界がぼやけたけど。すぐに戻った。


「藤堂!?」


「「大丈夫!?」」


亜貴・・・。


それに、磯部くんと武田くんも・・・。


あたし・・・。
どうしたんだっけ??



確か・・・。
一緒に練習してて、それで・・・。


「無理すんな。な?」


お兄ちゃん・・・?


違う。
亜貴だ・・・。


「藤堂?」


お兄ちゃん?


ううん。亜貴だよ。


「亜貴・・・」


「ん?」


「麗華って・・・呼んで」


「え?」


お兄ちゃん・・・。


もう一度、一度だけでいいから、


「お願い・・・。お願い・・・」


その優しい声で、“麗華”って、呼んで??





「・・・麗華?」


「・・・っ・・・っ!!」


涙が出た。
唇を噛み締めると、自然と涙が出た。


必死で押し殺した。


ここまで出てきた言葉を、必死で飲み込んだ。



だって、言っちゃいけなかったから。


亜貴に、“お兄ちゃん”だなんて、
絶対に、言っちゃいけなかったから・・・。




亜貴は泣いたあたしを抱きしめてくれた。



不思議だ。
亜貴はお兄ちゃんに良く似てる。



あたしの、お兄ちゃんに・・・。





「・・・なさい・・・」


「え?」


「ごめん・・なさい」


ごめんなさい。


ごめんなさい。


迷惑かけちゃって、ごめんなさい。



心配かけちゃって、ごめんなさい。



だから、だから・・・。


いなくならないで?


お願いだから、
離れていかないで?



ずっと、そばにいて?


ねぇ、みんな・・・。


ねぇ、お兄ちゃん・・・。




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