LAST SMILE
第5章 リストバンド
びっくりして祐兎の方を見ると、
祐兎と視線があった。
「あ・・・。や、何でもねぇ。亜貴。俺、煙草」
「あのなぁ、煙草は聞いてねぇけど。
てか、まだあるじゃん」
「あー・・・。だな」
祐兎はぎこちなくそう言うと、
またそっぽを向いてギターをちょろっと弾き始めた。
なんで?
何かあったの?
いつもの祐兎にはムカつくけど、
なんも言われないとなると、なんかむずむずする。
頭打ったかな?
「俺、ちょっと出てくる」
祐兎は立ち上がるとそう呟いて、スタジオを出た。
「ねぇ、たけし・・・。あいつ、どうしたの?」
祐兎がいなくなるのを確認して、
あたしは武田くんに聞いた。
「さ、さあ?なんだろな」
「磯部くんは?何かしらない?」
「さあね。俺もわかりません」
みんなも知らない何か?
う~ん。
なんだろ・・・。
そのうち、しばらくして亜貴が戻ってきた。
あたしは亜貴からジュースを受け取って飲んだ。
だけど何故か、あいつが気になっていて、
祐兎が出て行った方のドアをじっと見つめていた。