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君の瞳に映るもの

第3章 戸惑い

 零一の声がしても、躯は動かず、中途半端に着替えが止まった状態で振り返った零一と目が合う。

「手、止まってる」

「え、あ……」

 裸でさえいなければいいと思っているのか、零一は、もう背中を向ける必要はないと判断したのか、ゆったりとした歩調で歩み寄ると、私の頭をひと撫でして、買ってきた袋の中身をあさりだす。

 慌てて着替えを済ませて、零一に物申したいと思うのに、うまく言葉になってくれず、感情みたいなものを呑み込む。

「弁当と、適当に野菜とか買ってきたけど、お前、ちゃんと食えよ? もう少し太れ」

 何、この会話。

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