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君の瞳に映るもの

第3章 戸惑い

 危険だ。

 この男、声で私を殺す気だろうか。

 大袈裟な考えかもしれないけど、零一に囁かれると、収まったはずの躯の疼きをまた刺激されたみたいになって、落ち着かない。

 それは、数秒前に言われた言葉さえ一瞬で忘れてしまうほどで、口から心臓が出るとまでいかなくても、それに近いものがあった。

 ばくばくと音を立てる鼓動は、煩すぎて零一にバレてしまっているだろう。

 離れたい。

「は、離れ……」

 声が裏返ってもがくけど、零一の腕から抜け出そうとすると、させまいときつく抱き締められる。

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