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君の瞳に映るもの

第3章 戸惑い

 やっぱり零一はすんなり答えてはくれない。

 思い出せというのだろうか。

 五、六年前といったら、高校に通っていた頃。

 二年生の頃だ。

「同じ高校、なわけないよね? 見るからに私より年上だし」

「永遠の二十五歳ってことにしておけ」

「……三十越えてるの?」

 もうはっきりと答えないことを気にせず聞きたいことを聞いた方がいいかもしれない。

 零一は私の髪に唇を寄せたり、頬に触れたりして甘い雰囲気を崩すことなく私の質問をするりとかわしていく。

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