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君の瞳に映るもの

第3章 戸惑い

「電車の中」

 かわすことに飽きたのか、零一はあっさりと答えて私の表情を伺う。

「電車?」

 私が高校時代の時で、電車の中。

 行きか、帰りの電車の中ということだ。

 記憶を巡らせるけれど、そんな情景は過りもしない。

「思い出せないだろ?」

 零一はくすくすと笑いながら私の髪を撫でる。

「そんな小さなこと、覚えてる訳、ない」

「いや、重要なことだよ」

「え……」

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