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君の瞳に映るもの

第3章 戸惑い

 触れる唇が思考を溶かして、何も考えられなくなる。

 今はただ、感じていたい。

 今日知ったばかりの温もりを。

 私の中で懐かしさはないのに、それに似た気持ちが胸に広がり、切なくなる。

 離れたくない。

 さっきまではあんなに離れたいと思っていたのに、どうして。

 触れていたい。

 心の声は驚くほどに素直で、それが、本当に私自身の感情から生まれたものなのかと思うと、戸惑わずにはいられない。

 私のことは、私自身が一番に理解している筈だけれど。

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