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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

「聞きたいことはまだあるんだけど、その態度、どうにかならないの?」

「態度? 何か問題でも?」

「あんたね、私にしたこと忘れたの? ここは私の家で、あんたは招かれざる客っ! わかってるの?」

 悪びれる様子もなく、零一は首を傾げて髪を拭く手を止めた。

「招かれざる客、ね……。俺は釣られた男で、誘ったのは、お前だ。雅緋(マサヒ)ちゃん?」

 桐生零一という男が私の家で堂々くつろげる訳――それが、今言ったことだとするなら、私は何も言い返せない。

 私の名前を呼ぶタイミングをはかっていたのか、とか、そうなってしまうきっかけが男だったのかとか、色々と聞きたいことがあるのに、同時に言おうとする口は逆に言葉を吐き出せずにいた。

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