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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

「ひ、人聞きの悪いこと、言わないでっ! あんたなんか、誘った覚え、ないっ」

「まぁ、覚えていないなら、そう言いたくなるのもわからなくもないが……」

 床に脱ぎ捨てられたシャツを拾い上げ、胸ポケットから煙草を取り出すと、それに火をつけ、零一は続けた。

「俺は嘘は言ってない。じゃなきゃ、俺は今、ここにいないしな」

「……あんたって、誘われれば誰にでもついていくの」

 そんな私の言葉に、零一は天井を見上げて少し考えると、向き直り、口を開いた。

「自慢じゃないが、初めてだ」

「は?」

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