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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

 何度目だろう。

 桐生零一という男に、ドキッとさせられるのは。

 それは不意に来て、時間もタイミングも選ばない。

 零一に関して知らないことが多すぎる。

 そのことに変わりはないのに、無意識の部分では、既に惹かれてしまっているのだろうか。

 それだけは認める訳にはいかないのに、触れられた箇所から熱を帯びていくような躯は、寝起きに抱かれた感覚を思い出し、上気した。

 やだ、散々したのに、疼いてるの……?

 その事実が信じられなくて、首に絡めていた腕をほどき、零一の胸を押す。

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