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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

 初めての時は、なかば強引に求められて、訳がわからないまま終わったから。

 ただ、痛いだけで……。

 相手の都合に振り回されて、ギクシャクしたのは言うまでもなく、すぐに別れたけど。

「お前、さ……」

 唇の傍で声がして、不意に見つめられていることに気づいて、私は目を逸らした。

 何で、こんなにドキドキしているんだろう。

 少しの沈黙が何だか痛くて、躯を小さくすると、零一は溜め息を溢した。

 え、何?

 何なの、その、やれやれ的な溜め息は。
 

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