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うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww

第10章 好きだ

バタバタと、蘭の足音が遠ざかる。

和佳の大声に静まり返った教室内も、また賑やかさを取り戻していた。


「和佳ちゃん……あんま、頑張り過ぎんなよ?」

ポンポン…と、優しく頭を叩かれる。


「今…優しくしないでよ、裕貴……泣くの、我慢してるんだから……」

蘭の走り去った方向を睨み付けていた和佳の顔が、クシャッと歪む。


「和佳ちゃんに付け入る隙を狙ってるのに、今優しくしない訳ないでしょ」

ニッと笑って、自分のブレザーを和佳の頭から被せる裕貴。

そのどこか引き攣った笑顔に、和佳のやせ我慢が解けていく。


「…っ…うー…」

裕貴のブレザーに隠されて、和佳は堰を切ったように泣き出した。


「あー、抱き締めたい! ダメ?」

「ダメ!」

「ちぇー…」

ブレザーの隙間から垣間見た裕貴のむくれ顔に、和佳は泣きながら笑った。


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