ば ー ち ゃ る ⇔ レ ン ア イ
第1章 ⅰ.天使はただの道化師なのです。
なんと助けてくれるかと思ったその人まで私の前から、
胸を触り始めたから…。
『な、んで…』
私は満員電車の中で助けを呼ぶことも出来ず、
そのまま学校近くの駅に停まるまでぐっと我慢していた。
………………………………………………………
私は電車を降りると走ってホームを出た。
周りの人が見ているのも気にせずにとにかく走った。
そして、駅を出たところにある人通りの少ない裏道に着いた。
「さ…いあく…」
私は乱れた息と、制服を整えつつ、心を落ち着かせた。
改めて制服を見てみると、ブラウスの上から3つほどボタンが外されていた。
そりゃ周りの人に見られるわけだ…。
ボタンを留めるとそっと下半身に目をやる。
「結局触られるだけで終わってよかった…」
あれなら私は目を瞑って我慢していたのだけど、
その時足をガッチリ閉じていたこともあり、
あれ以上ひどいことはされなかった。
でも、あの状態で感じてしまっていたのは事実であった。
今更私は後悔の念に駆られた。
「何で油断しちゃったんだろ…はぁ…」
こんなにも痴漢が多いのに、
女性専用車両がないのはおかしいと思う…。
そんなことを思っていたら、まだ周りに痴漢がいそうな気がしてきて寒気がした。
「…っ、は、早く学校行こ…っ」
私は先程までの嫌な思いを振り切るかのようにまた走り出した。