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「だって、冗談でしょ?」

第6章 「本当に好きな人とするキスって」

『寛汰。来て。』

文面を見て、明るかった気持ちが一気に萎える。

「りょーかい」

それだけ打つと、俺は手ぶらで外に出る。

マンションのお隣。

呼び鈴を鳴らすと、中から愛里さんが出てくる。

「いらっしゃい、寛汰。おいで」

愛里さんは綺麗に化粧をしていた。

部屋の中に入りながら、俺は聞く。

「仕事で何かあったの?」

愛里さんは黙って俺の胸ぐらを掴む。

「そういうこと、聞く?」

「ごめん」

俺は謝って愛里さんの唇にキスをする。

俺よりも少し背の低い愛里さんの顎を持ち上げ、口を開けさせる。

激しく口づけると、愛里さんは満足そうに笑った。

「上手くなったじゃん」

「誰かさんに散々調教されましたから」

真顔で言うと、愛里さんは声を出して笑う。

「それでいいの。私を喜ばせてくれれば、寛汰はそれでいいの」

俺の首に手を回し、愛里さんはニッコリ笑う。

「…うん、そうだね」

俺は呟いて、もう一度深く口づける。
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