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「だって、冗談でしょ?」

第1章 「失恋なんて、ハバネロと同じくらい辛(から)いから」

もういい。こんな美味しくない味はいらない。

しばらく恋なんてお断りしてやる。

最初はね、そりゃ幸せで甘いけど!

だんだん寂しさとかすれ違いとかいう苦さが混じってきて、それがドカンと辛さに変わるの。



「えーっ!やだぁ、まーくんてば!」

「ホントホント!あみちゃんが一番可愛いって!」

「もーっ照れるーっ」

そんな会話をしながら腕を絡めて歩くカップルを睨む。

別に羨ましくないから。違うから。

あんな幸せそうだってね、いつか辛い思いする瞬間あるんだから。

必死に言い訳をする自分にため息をつく。

しばらく恋はしたくない。けど、あの甘さを知ってるから...いやいや、でもその先には辛さが待ってて...

「永遠に愛し合える王子様が現れればいいのに...そしたら...」

...ぷっ。

なに呟いちゃってんの私。

大きく息を吸うと、私は空を見上げて再び歩き出した。

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