冴えかえりつつ 恋
第3章 わだかまり
上出が高校へ入学して初めての中間テストも終わった頃、駅で水泳部の仲間と再会し、週末に中学の新人戦を冷やかしに行こうという話になった。
久々に遥暉に会えることを楽しみにして行った--しかし、遥暉は怪我の後遺症のため、水泳部を辞め、殆ど登校さえしていないと聞いた。
落胆して帰宅した上出は、事情を知る母親から慰めるように諭された。
『 受験の邪魔になるから、上出先輩には知らせないで。』
それが、遥暉の希望だったとーーー。
あの頃何度も上出はマンションのベランダから丸山邸を見下ろした。
邸宅を囲む鬱蒼とした木々がぽっかり切れた箇所から見えるのは、廊下の突き当たりの踊場。
一階は車寄せ、二階は過去何度も訪ねたことがある遥暉の部屋の筈。
時々、その踊場の出窓に掛けている遥暉を見かけた。
こんな近くにいて、無二の仲だと自負していたのに…。
どうして連絡してこないんだ?!
ーーまた一緒に泳ごう。
そう約束したじゃないか。
棚にならんだ数々のトロフィー目掛けて携帯を投げつけた。
「 ちくしょうー!」
何度そう叫んだだろうか。
久々に遥暉に会えることを楽しみにして行った--しかし、遥暉は怪我の後遺症のため、水泳部を辞め、殆ど登校さえしていないと聞いた。
落胆して帰宅した上出は、事情を知る母親から慰めるように諭された。
『 受験の邪魔になるから、上出先輩には知らせないで。』
それが、遥暉の希望だったとーーー。
あの頃何度も上出はマンションのベランダから丸山邸を見下ろした。
邸宅を囲む鬱蒼とした木々がぽっかり切れた箇所から見えるのは、廊下の突き当たりの踊場。
一階は車寄せ、二階は過去何度も訪ねたことがある遥暉の部屋の筈。
時々、その踊場の出窓に掛けている遥暉を見かけた。
こんな近くにいて、無二の仲だと自負していたのに…。
どうして連絡してこないんだ?!
ーーまた一緒に泳ごう。
そう約束したじゃないか。
棚にならんだ数々のトロフィー目掛けて携帯を投げつけた。
「 ちくしょうー!」
何度そう叫んだだろうか。