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冴えかえりつつ 恋

第3章 わだかまり

久しぶりの再会に緊張をしていた遥暉も、少し打ち解けた口調になっていた。

取り止めのない会話。

変わらない後輩の笑顔。

あの時の蟠りが、遥暉を責める言葉になって口を突いて出た。

「 お前、なんで俺に知らせるなーーー、 なんて言った⁈ 」

「えっ・・・・・。」

「 怪我で水泳部を辞めたこととか・・・。」

遥暉は表情を強張らせて、上出を見た。

「・・・・お…ない」

小さな吐息のように一度呟いた後の硬い声。

「泳げない」

一年以上抱き続けたモヤモヤの上乗せにイラつき語気を強めた上出。

「 そんなこと聞いてない。
なんで何も連絡しなかったのかって・・・。」

遥暉は、キュッと噛み締め上出の言葉を受け止め、少し間をおいてぎこちない微笑みを浮かべ言葉を絞り出した。

「 先輩と一緒に泳ぐって、約束したのに… 泳げない僕から一体何のための連絡をしろって云うんですか?」

自分を慕っている遥暉が、以前ならこんな挑発的な返事をすることなど無かった。

また、そんな遥暉の変化を見落とすような上出では無かったのに、久し振りの再会と、連絡をよこさなかった後輩への不信から無神経にも自己中心的に問い詰めてしまった。

「用事なんかなくてもー。」

責めるような口調に、遥暉は語気を荒げた。

「じゃあ!!

どうして先輩は合否の連絡さえくれなかったんですか?!」

静かな瞳の奥に絶望を彷徨った軌跡が映っていた。

上出は遥暉の激しく動揺した瞳に、言葉を詰まらせた。


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