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冴えかえりつつ 恋

第3章 わだかまり

上出を追い求めているだけで満足だと思っていた。

でも、それは自分が上出に相応しいという傲りだったと怪我をして思い知らされた。

上出の期待に応えられない自分の存在にのたうち回った1年間。

とうとう、約束を果たす見通しが立たないままの再会に、上出への迷いが遥暉を緊張させていた。

遥暉は苛立ち上出から視線を外した。


「 いつも、僕一人必死になって・・・カッコ悪い・・・」


綺麗な横顔が歪む。


「 ・・・泳ぐどころか・・・ 、人ごみ・・・通学さえ自信がないなんて・・・・・。まるで幼稚園児みたいだ」


遥暉はこんな自嘲するような奴じゃなかった筈。

遥暉の白い頬に涙が伝った。


「 ううっーーー。」


遥暉が膝を抱えて嗚咽した。



ーー俺が傷つけた!






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