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冴えかえりつつ 恋

第3章 わだかまり

遥暉はどんなに忙しくても、連絡をこまめにするタチだった。

だから遥暉から上出へ連絡をとるのが当たり前だった。

遥暉の言う通り、自分から遥暉に連絡をするなんて思ってもみなかった。


いや、常に上出を優先してきた遥暉が、上出を煩わせる事は望まなかっだろう。


仮に、上出から連絡したとしても気づかれないよう上手く躱してしまうに違いない。


無理強いすればプライドをキズつけ、去って行ってしまうだろう。


遥暉が本気を剥き出し追いかけてくるのを、上出は待つしかない。


自分達の関係は、主導権はいつも遥暉にある---、

上出はそう考えていた。

だから、いつも遥暉からの連絡を待っていた。

遥暉の本気を待っていた。



本音を言えばーーー

彼に必要とされることが自分の自信につながっていることを、上出自身痛いほど自覚している。


稀有な存在である後輩、彼から求められたかった。



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