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冴えかえりつつ 恋

第1章 序章

上出家のリビングに、丸山氏と遥暉、上出と両親がテーブルを囲んで遥暉の怪我の話しをしている。

少し歯切れの悪い口調で話す丸山氏は、ため息をつくと、コーヒーカップを置き居住まいを正した。

「心配で送迎も考えたのですが、本人が自分で通いたいというものですから、慣るまでで良いので倫典君に付き添ってもらえないだろうか?と、
親バカを承知でお願いに 伺った次第です。
息子の我儘な事は重々承知なので、断わってもらっても…。」


つまり、この春から学校こそ違うが、同じ駅まで通学する上出に、同伴通学を頼みに来ているのだ。


上出は、俯いたまま一度も顔を上げない後輩を、真っ直ぐに見据えて言い放った。



「 遥暉の頼みなら、引き受けます。」


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