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冴えかえりつつ 恋

第5章 春休み

今日から春休み。

泰弘は朝食の後、リビングで昨日の美術展の作品集をみていた。

テーマ設定が珍しく作品のラインナップも充実していた。

いつもなら満足したら、そのテンションのまま勉強へシフトするのに、今回はどうしたことかうまくいかない。

気付けば丸山遥暉と上出倫典のことばかり考えていた。


ーーー遥暉の纏っている空気感が印象的だった。
それを包む上出のオーラも。
あの切なくなるような…….、


「……ろ、泰弘。」

「はっ、ハイ。」

「アトムの散歩お願いできるかしら。」

「はい。」

母親から犬の散歩を頼まれた。

天気も良くポカポカ陽気で、散歩日和。


「気分転換にちょうど良いや、河川敷の公園まで足を延ばすか。」



泰弘は公園の中ほどにある桜並木を目指して歩いた。

まだ桜の蕾はかたく、幹や枝がほんのり色づく桜木は、浅春の風情をたっぷりと匂わせているだろう。

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