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冴えかえりつつ 恋

第5章 春休み

渋々ながら高菜おにぎりを食べ牛乳を飲む遥暉を、上出はおにぎり2個を平らげた後、満足気に見つめている。

アトムを弄っていた上出が泰弘の視線に気づき振り向いた。

「岡田さん、もう一つどうですか」

泰弘は上出の柔らかい表情に戸惑う。

「い、いや、もう十分だよ。もう昼御飯がいらないくらい・・・・・・」

「これっぽっちで?遥暉もだけど、食が細すぎじゃないですか?」

「慶矩にもよく言われるけどね・・・・・・」

「慶矩は育ちすぎですけどね。何食ったらあんなにデカくなるんですか?」

身長191センチの慶矩は電車の中でも頭が飛びぬけている。

「ん~、家では同じものを食べているように思うのだけど、まあ、量は多めだな。
慶矩は部活で伸びたんじゃないかな」

「部活?何を?」

「バドミントンだよ。あれでもダブルスで地区大会ベスト4なんだよ」

「僕、見ましたその試合。地元テレビ局の深夜放送で放送していたので」

「お前そんなの見てるのか?」

「藤蔭学園が出ているからって、兄が見ていたので・・・ たまたま・・・」

ズズズッ

遥暉の飲んでいた牛乳パックが空になった。

上出は何気に遥暉の手から牛乳パックを取り、パックを潰しながら呟いた。

「へぇ、慶矩は昔っから運動も勉強もよくできたからな」

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