冴えかえりつつ 恋
第6章 市営プール
水から上がってグルリとプールサイドを見回すと、休憩時間になる前にあがっていたらしい遥暉が、プールサイドのジャグジーにいた。
直径3mの円形ジャグジーは、春休みに入って時間を持て余している小学生連れのママで一杯だ。
ーーーかなり......行きづらい。
上出は遥暉に手招きした。
遥暉は笑ってチョイチョイと手招きを返してきた。
ーーーか、かわいいなぁ!ーーーじゃなくて‼︎
今度は大きく手招きする。
ーーー無理ッだから!こっち来いって‼︎
遥暉は首をかしげている。
もう一度力強く手招きをすると、ようやく温水からあがって上出のそばにやってきた。
「ジャグジー気持ちいいですよ」
「お前あれ見て何とも思わない?」
上出は遥暉がいたジャグジーの方を指差して聞いた。
「・・・・・・?」
遥暉はキョトンとしている。
「あんなに若いママ達の中に行きづらくて」
「はぁ...。女子の水着は水泳部の頃で見慣れてませんか?」
「かなり色気もボリュームも違うし目のやり場に困る・・・・、じゃなくて!
反対だよ!
おばさん達に無遠慮にジロジロ見られるから嫌なんだって」
「あっ、なるほど...」
先輩はすっかり大人の体格だし、いわゆるイケてる感じだから、ママ達からも舐めるように見られるだろう。
ーーートンビに油揚げ、おばさんにイケメン?
「ちょっと不快かも...」
「だろ?サウナへ行こう。あっちの方が広いし、静かだから」
「そうしましょう」
遥暉のつぶやきに上出が相槌を打ち、二人はそそくさとサウナへ向かった。