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冴えかえりつつ 恋

第7章 電車通学

駅につくと、回送電車が入って来た。

この駅が始発になっているため、この電車なら大概座って(つまり眠って)行くことができる。

と、上出や遥暉の兄達からのアドバイスがあった。



上出が定位置にしている場所に並んで乗り込むと、迷わず端っこに陣取る。

壁際に遥暉を座らせると、上出はその横に座るなり、

「N総合駅までねる」

と言って上出は居眠りを始めた。



遥暉は初めての通勤通学電車と、隣に感じる上出の体温に緊張してソワソワと落ち着かなかった。

仕方なく目を瞑る。



ガタ、ガタンッ!



電車が動き始めると揺れに合わせて、熟睡しているらしい上出の体重が遥暉にかけられる。



ドキッ!


―――どうすれば・・・・・・。


そっと押し戻してみる。


「......ホッ」


コクリッ!


さらに上出の頭が遥暉の方に凭れ掛かるように傾いた。


――ち・・・近過ぎ!
 いっ、息が首筋にかかるぅ―――!





ドキ、ドキドキ、ドキドキドキ・・・・・・・・・・・・

遥暉の心臓が早鐘を打ち、ただただ緊張で固まったまま1時間近く電車でゆられていった。



総合駅に着く頃上出は目を覚まし、遥暉に寄りかかっていたことに気づいた。


「あ、悪い。重かったか」


「い、いいえ。大丈夫です」



遥暉は精一杯の作り笑いをした。



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