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冴えかえりつつ 恋

第7章 電車通学

総合駅を降りるとホームの大きな階段に大勢の人が殺到している。

体からカバンが離れていかないように両手で必死に抱え込んでいる遥暉に、ふいに耳元で上出が話しかける。


「この状況で足が利かないことになったらどうするつもりだ? 何かにしがみつけるように、せめて片手ぐらい空けれるようにならないとな、遥暉」

上出はそう苦笑して、片腕で遥暉の腰を支えて歩いた。


「ッ――」


遥暉は上出と密着した部分が気になり、赤面した。

人ごみから抜けると上出が手を放してくれ、遥暉はホッと息をついた。


「大丈夫か、まだ地下鉄もこんな調子だぞ。」

「ええぇ―――!」


小さな悲鳴を上げた遥暉に、上出が笑った。


「ラッシュ如きに、弱音吐くなよ」


―――いいえ、ラッシュというより、先輩が・・・・・。



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