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冴えかえりつつ 恋

第9章 岡田家の団欒

慶矩が生返事をしていると、泰弘は立て続けに聞いてくる。


「去年も一緒に登校してたか?」

「いいや、何となく・・・」

「どういう心境の変化?」

「別に・・・、それにコンが一緒だった時なら3人じゃなくて4人だったし」

「え?他に誰かいたのか?」


泰弘たちからは背の高い上出と慶矩とそこそこのガタイのコンちゃんの陰で小柄な遥暉は見えていなかったのかもしれない。


「ああ、1年の丸山遥暉っていう奴もいた」

「丸山君も?!」

「知ってるの?」


泰弘が丸山のことを知っていたのには驚いた。


「あ、この間知り合ったばっかり。県美で・・・・」


――またもや、県美?


少しうつむいた泰弘の表情は口元が緩んでいた。



審美眼の高い兄が丸山の美貌を思い出して自分の世界に浸っているのが、手に取るようにわかった。


「丸山君は上出の中学の後輩みたいでさ、月陵高校はうちの学校の前を通るから、この春から一緒に通学しているみたいだよ」


「そう・・・・なんだ」


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