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冴えかえりつつ 恋

第9章 岡田家の団欒

今の彼からは想像がつかない事実。

あの綺麗な立ち姿や所作が、彼のリハビリの苦しさを乗り越えてのものだったとは。

慶矩もまだショックが隠せない様子で自分の手を見つめていた。


「この間近藤さんの奥様が、

『丸山家から彬史に学校でフォローしてほしい』

と、お願いされたとか。

今でも突然動けなくことがあるそうよ。

あなたたちも学校や登下校に気にかけてあげてね。」


お茶を継ぎ足しながら話し続ける母。


「ところで、今でも綺麗なお顔しているのかしら?」


「うん、色の白い綺麗な顔だね。」


泰弘が応えると、母は少女のように頬に手を当てた。


「そう、怪我がお顔でなくてよかったわ。」


少し論点のずれた母の言葉でその話題は切りになった。




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