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冴えかえりつつ 恋

第11章 親友以上、恋人未満

「はぁ、マジ?育ちが良すぎるのも考えものだな。
お姫様が子守役を二人もつけて社会見学か?
登下校も誰かに付き添ってもらっているって聞いたし・・・」


「圭、言い過ぎだぞ」



泰弘は初対面の遥暉に対して圭一の態度が横柄なのが気になり窘めた。




遥暉に気を遣い自分に言葉を慎めと言わんばかりの視線を投げてきた泰弘にイラついて、上出にもやつあたりした。


「進学校の秀才君も勉強時間削って社会見学の引率も大変だろう」

鉾先をむけられた上出は、


「俺達は自分のペースで休日を楽しんでますから、気に入らなければ付き合って貰わなくて結構です」



遥暉に対する中傷を許さず、圭一の嫌味を一刀両断に切った。




――ムカッ!

こいつ見た目だけじゃなく性格も無愛想な奴だ。




険悪な二人を無視し、泰弘は遥暉に微笑む。



「圭一は丸山君がみんなに好かれるからヤキモチ焼いているんだよ。子どもだね」



「岡田さん・・・」



遥暉は、返事に困った。

美術館で泰弘が遥暉と話している傍で、圭一がだんだん不機嫌になっていく事に気づいていた。

日頃泰弘から聞いている圭一の言動は、明らかに自分が上出に対して抱いているのと同じ。

そして、気づいてもらえないもどかしさを感じているだろうこともうかがい知れた。

圭一の今の気持ちもわかる遥暉は、圭一が自分に突っかかってきても、すべて受け止めることができた。

むしろ泰弘や上出の態度が、圭一の感情を逆なでしているように思えハラハラしていた。






「この後ポスター画のフレームを見に行くけど、
圭はどうする?退屈かもしれないけど、来る?」


山口は泰弘に‘部外者’扱いされたように感じ、立ち上がった。


「わっ!!」


泰弘の腕を引っぱって店を出ていった。





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